1971年のニッポンレンタカー中部時代から、金山橋、新一宮、犬山の各営業所内に併設した駐車場をレンタカーと共通で管理したのがパーキング事業の始まりだった。そこにおいて、モータリゼーションの高まりを受け、マイカーと鉄道を組み合わせた移動手段「パーク＆ライド」の需要に即応したことから、パーキング事業は70年代からすでに会社の増収に寄与していた。以降、名古屋鉄道と共同で「パーク＆ライド」に適した駐車場を次々と手掛けていく。75年には、岩倉に平面250台収容の本格的パーク＆ライド型駐車場を開設。そして、77年の名鉄新岐阜駐車場の立体化を皮切りに、83年に名鉄神宮前東口・西口パーキング、88年には東岡崎パーキングが大型立体駐車場として開設された。89年に開設された当社運営のパーク＆ライド型駐車場で最大規模を誇る名鉄一宮パーキングでは、開設後２度の増設を重ね600台が収容可能となった。また、駐車場施設の大規模化に伴う管理の効率化とサービス向上をめざすため、93年には神宮前東口パーキングに全自動料金精算システムを導入し、24時間営業を拡大させていった。94年開設の刈谷駅南口立体駐車場では、場内の柱をなくすなど駐車スペースや車路を改良し、利用者の立場に立った施設設計とした。当時のノウハウは、その後のパーキング事業に大きく活かされていく。

商業施設などの施設併設型駐車場の始まりは77年に開設の「犬山パークビル」。４階５層の立体駐車場で、当時県下最大400台収容を誇った。犬山パークビルの２～４階は連絡橋でユニー犬山店と接続され、買い物客の利便が図られていることも画期的だった。92年に開設した「名鉄藤が丘パーキング」は建設省の共同駐車場整備促進事業による全国初の駐車場で、３基のリフトを備える123台収容のタワー式パーキング。名古屋・栄地区においても、88年に三菱信託銀行との土地信託事業として立体駐車場「栄Ｍパーキング」を開設。96年には大型施設ナディアパークの地下駐車場（440台）の運営管理を名古屋市より受託し、営業を開始した。

そして、コインパーキングの営業を開始したのは96年。その第１号は「笹島東パーキング」で、収容台数は９台、個別式の精算機が設置された。無人で管理でき、小規模面積でも開設が可能なコインパーキングは、時間貸しの効率の良さから、空地が少なく駐車場ニーズの高い都心部で着々とその数を増やしていった。それに伴い、97年には24時間の管理体制を開始。2001年には本格的なコールセンターを開設し、すべての駐車場の集中管理を行えるように。機器の遠隔操作装置も導入し、トラブルに迅速に対応できる体制を築いた。

路駐取り締まりの強化で追い風が吹き、競合他社も追随してきたが、（※06年には道路交通法改正により駐車違反の取り締まりが強化された）４年目の00年には名古屋市内で130カ所、延べ収容台数1,750台の規模に成長した。その要因は、集金から清掃まで当社の駐車場センターが24時間対応する独自の管理体制がオーナーや利用者に支持され信頼を得たことにある。またコインパーキング間で共通利用できるプリペイドカード「Pカード」・回数券も発行したことで利用者の評判を呼び、以降は岐阜、豊橋、浜松、四日市など周辺中核都市でも積極展開していった。

また、06年に駐車場の指定管理者制度が始まり、同年に名古屋市、各務原市、豊川市、西尾市の市営駐車場の管理を受託。07年には名古屋鉄道(株)、中部電力(株)、トヨタ自動車(株)など名古屋財界企業の力を結集した牛島南地区再開発事業で竣工した高層オフィスビル「ルーセントタワー」の駐車場も当社が担当した。翌08年に開設した松任駅複合型立体駐車場は、白山市、北國銀行、当社を含む民間企業数社が出資するＳＰＣ（特定目的会社）による全国初の駐車場運営。そして当社の駐車場運営ノウハウの集大成となったのが、17年開設の名古屋市営金城ふ頭駐車場。これはテーマパークや商業施設が集約する金城ふ頭エリアへの来場者のための駐車場で、単独駐車場としては国内最大級の5,000台収容。入札要件の最重要課題は「渋滞回避への仕組み」で、当社はこの難題に臨み、構造の変更や設備の選定、交通流量のシミュレーションを繰り返す中で数秒の短縮を積み上げ、スムーズな入出庫を実現。受注を確定した。同じく17年には再開発が進められてきた「ささしまライブ24地区」に開業した複合施設「ささしまグローバルゲート」併設駐車場の管理も開始した。また、21年春には、東京医科大学病院駐車場の営業を開始することになっている。