歴史編

15カーシェア「カリテコ」スタート
クルマ持たずにカリテコ マイカー
カリテコステーション「なごのキャンパス」に設置のトヨタ・プリウスPHV

1台の乗用車を複数の会員で共同利用する「カーシェアリング」は1990年代からヨーロッパで始まり、環境意識の高まりや節約志向から、その考え方が日本にも波及してきた。当社でも駐車場事業、カーリース事業の延長として既存の経営資源を有効活用できる新事業としてカーシェアに着目。1台のクルマを複数の人が利用することでCO2排出を抑制し、利用者もクルマを所有するより経済的負担が少なくなるシステムとして事業化することを目指しカーシェア事業部を立ち上げた。2009年、名古屋駅地区街づくり協議会の協力で2台のクルマを稼動して実証実験を行った後、正式に名鉄協商カーシェア「カリテコ」のサービスを開始した。キャッチフレーズは「クルマ 持たずに カリテコ マイカー」。最短30分から15分単位で24時間365日クルマを利用でき、パソコンや携帯電話で簡単予約が可能。ガソリン代は不要で、車検・保険料などの維持費も月会費・利用料金の中にすべて含まれる。まずは名駅周辺に4カ所、栄に1カ所のステーションを設置。その後は当社のパーキング網を活用して名古屋を中心に東海エリアに拠点を広げていった。現在では、金沢や東京にも進出している。

カーシェアはそれまで世の中になかったサービスだったため、一番苦心したのは認知度を上げること。名鉄の各駅で無料の体験キャラバンを展開したり、話題づくりのプロモーション・企画を展開し、大学や自治体とも普及に向けた取り組みを行った。配置車両としては環境に配慮したECOカーを中心に増やしていき、電気自動車「三菱アイ・ミーブ」のキャンペーン(10年)を実施したり、名鉄AUTOとの共同企画で「MINI」(15年)や「BMW」(17年)を導入するなど「選べる楽しさ」をキーワードに多様な車種を広げていった。会員数はサービス開始から5年後の14年には1万人を突破。個人会員のほか約半数が法人会員で、営業用としても利用され、名鉄主要駅付近に次々と配置した車両は、駅から目的地までの末端交通手段としての役割も担うようになった。

利便性の強化としては開始当初からカリテコ利用者が車内搭載のMKPビジネスカードを使って名鉄協商パーキングを無料で使えるサービスを開始。その後、manacaをはじめとする交通系ICカードとの連携や、18年にはNTTドコモによるカーシェアの予約から決済までがアプリ上で完結できるサービス「dカーシェア」にも参加するなどの施策を行うほか、各種の優遇プランを打ち出し、20年時点で会員数は約3万4,000名を超えている。

電気自動車「三菱アイ・ミーブ」
採用セレモニー(2010年10月)
カリテコステーション現地での入会説明会の様子
(2009年)
カリテコ車両にMINI<左>を採用(2015年12月)
「dカーシェア」のサービスに参加(2018年11月)