歴史編

9環境への取り組み
名鉄との連携で使用済み乗車券をリサイクル
使用済み切符が配合されたトイレットペーパーとリサイクルボード

90年代に環境問題やゴミ問題がクローズアップされた折から、資源を再利用するリサイクルが注目されるようになった。当社の包材事業部では1990年から再生紙を販売していたが、94年には前例のない使用済み磁気乗車券のリサイクル事業に取り組むことになった。

名古屋鉄道の使用済み乗車券は当時で年間約70トンだった。そこで製紙会社と共同開発に着手しテストを重ねたが、再生紙に乗車券含有率が低かったり、乗車券の磁気部分を取り除くことに苦労したり、試行錯誤を重ねながらも再生紙としての実用化に成功。96年には名鉄の社封筒に加工して納入した。

その後は紙ファイル、名刺、トイレットペーパーなど多彩なリサイクル商品を開発して販売。原料となる使用済み乗車券の回収を名古屋市交通局や京王電鉄など全国の鉄道会社へ拡大してロットを増やし、再生トイレットペーパーなどを低価格で鉄道各社に販売できるようになった。

さらにPET券(ポリエステル材のカード)に関するリサイクルの相談を鉄道各社から受けるようになり、これも製紙会社との協力で試行錯誤の末、2000年に製品化に成功。PET券と工事用シート・カーペットなどの廃プラスチック材などを原料とした100%リサイクルの駅用ベンチを開発した。その強度は木製ベンチの10倍でありながら釘も打てるほど加工しやすく、何度でもリサイクル可能という画期的な製品で、同年には新名古屋駅に設置され、以後名鉄の各駅用に、後には相模鉄道など他の私鉄用にも製造していった。またベンチと同じ材質で駅に設置するゴミ分別BOXも作られた。これらの成果によって当社のリサイクル・包材事業部は2009年に名鉄功労賞を受賞している(2001年には名古屋鉄道がリサイクルを推進した功労が認められ国土交通大臣賞を受賞)。

ほかにも同じベンチの素材が地下鉄の第3軌条カバーとして採用された他、廃タイヤを利用した全国初のリサイクル誘導板(点字ブロック)を開発して名鉄瀬戸線の各駅に設置した。

ちなみに、当社が創業当初から行ってきた名鉄沿線の駅前駐車場整備は、都心部へのクルマの乗り入れを抑止して大気汚染を軽減するパーク&ライドの利用促進につながり、当社が環境問題に取り組んだ最初の事業ということができる。

リサイクルボードを成型して作られた駅ベンチ
ごみ分別ボックスの一部にリサイクルボードを使用