歴史編

5駅前ショッピングエリアの創造
画期的なオープンモールで始まった「エフ」の歴史
「名鉄ランブリング・エフ」から「藤が丘effe(エフ)」へ
「名鉄ランブリング・エフ」営業開始(1981年10月)

駐車場営業が本格化し、名鉄主要駅付近に大規模な立体駐車場の建設が進み始める70年代後半、駅前のコミュニティを活性化させる商業施設の運営にも携わることになった。

その先鞭を付けたのは、1977年に犬山駅前に建設した商業施設「ルウ・シャネル犬山」。オレンジ色を基調とした2階建てのビルで、喫茶店、美容院、アパレルなど8テナントが入店し、駅前の賑わいに一役買った。

続いて79年には新清洲駅前に「ルウ・ノーブル清洲」、小牧市役所前に駐車場を併設した郊外型店舗「プラス・ラフネ小牧」、そして岩倉駅前には隣接する名鉄スイミングスクール岩倉と2階の連絡通路で行き来できる「ルウ・ナジエ岩倉」を次々にオープンした。

そしてこれら商業施設の集大成として81年にオープンしたのが、名古屋市営地下鉄藤が丘駅前の「名鉄ランブリング・エフ」である。藤が丘駅は地下鉄東山線のターミナル駅で乗降客が多く、名古屋市のベッドタウンとして宅地開発が進み、また学生バスの発着もあり、抜群の集客が見込まれた。折しも駅東側の名鉄バスセンター整備に伴って建設した名鉄ランブリング・エフは、当時一般的だったショッピングセンターとは違い、広場として空間を大きくとったオープンモール2階建てとしたことが画期的で、駅と一般街区との接点の役割を果たすコミュニティゾーンとなった。テナント構成は地元商店街とバッティングしないように調整してアパレル系が7割を占め、ファストフードなどの飲食店を合わせて約30店舗。「ランブリング」とは「ぶらぶら歩くこと」で、まさにファッショナブルな店を巡りながら楽しくそぞろ歩く施設となった。ちなみに名鉄ランブリング・エフはデザインも優れ、街の活性化に大きく貢献したとして、82年に第1回名古屋市都市美観優秀建築賞を受賞。ドラマやCMの撮影ロケ地としても使われて話題になった。

80年代後半になると、郊外進出の大型店舗による影響で名鉄ランブリング・エフでは苦戦を余儀なくされたが、91年には、開業10周年を機にリニューアルを行い、利用者の新たなニーズに合わせると同時に一層のグレードアップを図った。その後10年余を経て、名鉄ランブリング・エフがその幕を下ろしたのは2002年のことだった。閉店後、建物は解体し、用地は05年「愛・地球博」開催時の東部丘陵線乗客待機場所として、(財)2005年日本国際博覧会協会などに貸与した。そして06年、同じ場所に新たに誕生したのが現在の「藤が丘effe(エフ)」である。敷地面積は約2800㎡。建物は6階建てで1~2階が店舗、3~6階および屋上は自走式立体駐車場となった。当初、店舗は食品売場をはじめ、飲食店、ヘアサロンなど14店舗で構成され、オープン当日は25年前の名鉄ランブリング・エフ開店のときと同様、大盛況となった。藤が丘エフのキャッチフレーズは、「Daily生活彩館」。日々の生活に彩りを添えることをコンセプトに商品・サービスを提供し、地域とともに歩み続けている。

「藤が丘effe(エフ)」営業開始(2006年11月)
※北側から撮影
「藤が丘effe(エフ)」営業開始(2006年11月)
※南側から撮影
1970年代の藤が丘駅前
現在の藤が丘駅前(2021年)
「ルウ・シャネル犬山」営業開始(1977年10月)
「ルウ・ノーブル清州」営業開始(1979年3月)
「プラス・ラフネ小牧」営業開始(1979年9月)
「ルウ・ナジェ岩倉」営業開始(1979年12月)